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ひとが死ぬとは、どういうことか。3年前に夫を見送ったあと、作家の村田喜代子さんは大きな問いにとらわれた。「美土里倶楽部(みどりくらぶ)」(中央公論新社)は、命の終わりを考えた長編小説。夫を失った女たちが孤独に向き合い、したたかに、そし ...
過去を記憶しない者は、過ちを繰り返す運命にある(哲学者ジョージ・サンタヤーナの言葉)。「新しい戦前」とも言われるいまだからこそ、戦後の原点に立ち還(かえ)る必要がある。そこで想(おも)い出されるのが、1954年刊行の尾高朝雄『国民主 ...
(1)の臨床心理士界を牽引(けんいん)する著者は「自己肯定感」という言葉が嫌いという。一見心理学こそ扱いそうな言葉だが、肯定は自己が与えるのではなく他者や社会こそが作るものと説く。思考の土台には第2波フェミニズムの標語「個人的なことは政治的なこと」が ...
少数派の白人入植者が多数派アフリカ人を抑圧する南アフリカの人種隔離体制。その背後には「伝統」と「過去」が巧妙に利用されていました。『南アフリカの人種隔離政策と歴史の再構築』(明石書店、2025年2月刊行)は、そうした体制がいかにして ...
『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』『Gのレコンギスタ』……。数々の作品を手がけて熱狂的ファンを生み出してやまない富野由悠季とはどんなアニメーション監督か。なぜその作品には強烈な個性が宿るのか。藤津亮太さんによる『富野由悠季論』( ...
子育て本はいつの時代も売れるジャンルだが、本書が特に支持されているのは、単なる経験談ではなく「教育経済学」という学問的基盤に立脚しているからだろう。政策評価の最前線で活躍してきた著者が、子どもの将来を左右する要素を統計データから読み ...
哲学者の鷲田清一がいうには、『夜と霧』(みすず書房)の作者V・E・フランクルは強制収容所のささいな日々の問題を考える果てに、思考の「空き地」に出たという(鷲田清一『「待つ」ということ』角川選書)。「人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのでは ...
日本の子どもがお正月を心待ちにするように、イランでも新年(春分から始まる)のお祝いを目前に、さまざまなドラマが繰り広げられる。イラン発の絵本「あと2時間で新年です」(ファルハード・ハサンザーデ文、ガザーレ・ビグデルー絵、トップスタジオ ...
荻堂さんは、米国でイスラエルのガザ攻撃に対する抗議活動を行った学生が次々と拘束され、言論の自由が脅かされている現状についてふれ、「我々は運良く小説を通じて社会に対して問題提起を行える立場にいます。何を書くべきなのか、何を語り継いでいくべきなのか。この ...
『そして、バトンは渡された』は映画化され、2021年10月に公開されました。主人公・優子役を演じた永野芽郁さん、血のつながらない父親・森宮役を演じた田中圭さんは「好書好日」のインタビューで「家族とはどういう存在ですか」と問われ、次のように答えています ...
大阪府生まれ。東大薬学部卒業後、広告会社勤務を経て、作家、演出家、脚本家、映画監督など幅広く活動。2012年から、絵画の創作を始めた。朝日新聞土曜別刷りbeで連載中のエッセー「亀田誠治 きっと大丈夫」の挿絵を担当。週刊誌『AERA』では、東大卒の著名 ...
毎月発売される新作絵本。絵本の情報サイト「絵本ナビ」では3カ月に一度選書会議を行い、「NEXTプラチナブック」として編集長が自信を持っておすすめする作品をご案内しています。2025年2月選定、新定番として長く愛され続けていくであろう作品12冊。どんな ...